葉梅の年末 第一弾
最近
こんな映画を観ました。
イニシエーション:「ある集団や社会で、正式な成員として承認されること。儀礼」
この映画では
「通過儀礼」と意訳していました。
作中で
「イニシエーション・ラブって知ってる?」
「なんだいそれは?」
木村文乃の過去の恋愛話をしていて
出てきた聞きなれない言葉に対して、聞き返す松田翔太。
「イニシエーションっていうのは、通過儀礼のこと。彼にとって、私との恋愛は大人の男になるための通過儀礼だったの」
「もちろん、今となっては私にとっても同じことだったかもしれないけど」
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時は2015年の年末。
葉梅がナンパ師として初めて
24時間以内にハットトリックを決めたお話です。
年末年始を実家で過ごすために
葉梅は金曜日の新幹線に乗り込みました。
少し早めの正月休み。
その時の予定では
帰省次の日から5日連続で後輩とクラブ、という予定。
その日は、体力を温存するために
おとなしく実家から一歩も出ませんでした。
次の日
長身でめちゃくちゃイケメンの後輩と
あのモンスター箱で待ち合わせ。
そう。
この後輩と
赤箱に行って、負けたことはほとんどありませんでした。
名前を、ワタル、とします。
ワタルは野生ですが
他の野生と違うのは
全くナンパをしない、ということ。
なぜならば
イケメンで長身だから。
バーカンに立っているだけで
ありとあらゆる女性がワタルに寄ってきます。
あ
あと他の野生と違う所がもう1つ。
抜群のトークセンス。
え?
完璧じゃんって?
違います違います。
逆です逆。
マジで話が面白くないんです、ワタル君。
だから大抵は、すぐ放流されます。
そう
そこで葉梅の出番ですよ。
ワタルよりは面白いので
場を盛り上げて、連れ出すのがいつものパターン。
連れ出しちゃえば
夜景ドライブ、とか行って
車でセパるのが定石となっていました。
もちろん
有名な夜景スポットに連れて行くなんてことしません。
何回、人工的な室内イルミネーションを
楽しんだことでしょうか。
この日は22時に赤箱in。
最初の1時間は
テキトーに踊って
レッドブル飲んで
座って煙草を吸う。
この1時間だけで
ワタルは既に6人に逆ナンされ
LINEを略奪されていました。
なんでこいつこんなに面白くないんだろ・・・。
なんて考えていると
隣のテーブルに金髪ギャル2人組が着席。
美容師子とフリーター子との出会いでした。
対面同士で目が合ったのでしょう。
フリーター子が
ワタルに寄っていきます。
フ「お兄さんたちカッコ良いね」
明らかにワタルの方だけを見ながら、言いました。
お兄さんたち:「複数人いる男性のことを指す。しかし、場合によっては1人のことを指し、残りの多数を傷つけない様に、ついでに褒める場合に用いられることもある」
まあそんなことにへこたれていたら
ナンパなんてできません。
フリーター子のあとについてきた
美容師子と喋ります。
美容師子のステータスは
・美容師1年目。
・綺麗な金髪。
・最近は手荒れに悩んでいる。
・2年付き合っている彼氏がいて、4日前に婚約した。
・1週間後から同棲が始まる。
・浮気経験なし。
・付き合った人数は5人。
と、まあ
ざっとこんな感じ。
苦手なやつやん!!!
まず、まずね
葉梅、金髪とかギャルとかが苦手なんですよ。
でも今目の前にいるのは
金髪のギャル。
ダブルパンチやん!!!
「ダメ。ムリ。苦手。早く放流して次行こう」
とワタルに合図しようと思って顔を向けると
そこにはデレデレしているワタルが・・・。
ワタル仕上げられてるやん!!!
「葉梅さん・・・お願いします・・・」
抱きたいオーラを醸し出しながら
見つめてくるイケメンな後輩・・・。
分かったよ・・・
何とかこの子を連れ出して
君の即をサポートすれば良いんでしょ、はいはい。
ってなわけで
美容師子と連れ出すためにも
和まなければ・・・
葉「美容師子の彼氏どんな人?」
美「背が高くて・・・」
葉「うん・・・」
美「スタイル良くて・・・」
葉「うん・・・・・・」
美「めちゃくちゃお洒落で・・・」
葉「うん・・・・・・・・・」
美「かわいい系のイケメン」
葉「・・・あ、そーなんだ・・・」
無理無理無理無理無理無理無理
俺と何もかも真逆やん!!!
先輩のプライドを捨てワタルに
「いや~これ無理ですわ~」という視線を送るも
無視!!!
「あ、あの~ワタル君、番ゲして、次行きましょうや。俺、頑張るから・・・」
視線送り、再チャレンジするも
チラ見!!!
からの
無視!!!
美「ちょっと!!!聞いてるの!?!?!?」
葉「あ、ごめんごめん。睡眠不足でさ・・・」
なーんてクソみたいな言い訳をして
窮地を脱する葉梅。
葉「でも、その年で結婚するなんて、よく決意したね」
美「そうかな?あたしの周りは結構、結婚してるよ!あたし遅い方だし」
このセリフに微かに感じた違和感・・・。
純粋な興味でこの子にとって、結婚とは何かが気になった。
葉「美容師子はすごいね。俺にはまだ結婚なんて無理だわ」
美「え~なんでなんで?」
葉「子どもの事とか考えると、ね。経済的にも・・・とか言って、まだ遊びたいだけなんだけどね(笑)」
美「あ~。でも子どもかわいいし、あたしは好きだから、何とかなると思ってる」
葉「遊びは?」
美「遊びは、元々あんまり求めてないかな!早く結婚したかったし」
なるほど。
2つの仮説を立てる。
・早く結婚したかったのか。
・彼氏が良い人だから結婚したのか。
恐らく、彼女は前者の気持ちが強く、彼氏云々というよりは結婚をしたい、のではないか。
ちょいちょい見せる、不安そうな表情は、「結婚の決意が揺らいでいるが、それを強固な意志でカバーしている」そんな風に感じた。
苦手なタイプだが、隙は見つけた。
自分に問うてみる。
「この子を即ったとして、喜ばせることはできるのか。後悔させたりしないか」
葉梅の中でナンパ師と野生の違いはここだと感じている部分があります。
・自分のためだけに即るのが野生。
・自分のために即りつつも相手にポジティブな何かを与えられるのがナンパ師。
大げさな表現だと思われるのも嫌なので
敢えて言及すると
相手に与えるポジティブ何かは何でも良いと思ってます。
・喜び。
・快感。
・癒し。
・幸せ。
・笑い。
一時的でも良い。
そんな感情を相手に与えられる人がナンパ師の人には多い気がします。
相手が喜んでくれるか・・・。
ここを意識しながら、会話を進めて行く葉梅。
徐々に本質に近づいていく。
葉「結局、焦ってるってこと?」
美「正直、それもないことはない」
葉「不安なんだ」
美「うん。怖い。たまにこの人で正しかったのかって思う。まあマリッジブルー的なやつなのかもしれないけど」
相手の心の輪郭が見え始める。
葉「俺で試してみたら?」
このセリフ、めちゃくちゃ危険だと思ったけど
でも、美容師子は彼氏のことは好きだった。
その要素は会話の中で十分確認できた。
美「え?」
葉「俺を踏み台にしてみなよ。跳び箱得意そうやん」
美「なにそれ(笑)」
葉「俺、美容師子の彼氏に負けないくらい良い男やで?」
美「ほんとかな~(笑)?良いよ。比べてあげる」
連れ出し!!!
ワタルとフリーター子と同時に赤箱を出て
各々の目的地へと向かう。
車に向かう途中、美容師子に尋ねてみる。
葉「美容師子にとって、彼氏ってどこまでしたら彼氏なん?」
美「う~ん、やっぱりエッチかな~」
葉「わかった。じゃあ最低条件としてその前提の部分だけ俺に譲って」
美「うん???」
葉「比べられるんやから、エッチができる環境を土俵にしたいってこと。するかしないかは俺の魅力次第ってことやろ?だからホテル行こう」
美「ちょっと何言ってるかわかんないけど、良いよ。あたしは負けないから(笑)」
テルーホIN!!!
結構、強いグダとか想像してたけど
軽いグダが多く(質より量でグダ勝負してくるタイプ)
1個1個丁寧にほどいて・・・
でも途中でほどくのがめんどくさくなって
東京から持参した電マを持ち出し・・・
押し当てる!!!
後悔とか喜びとか
何か偉そうな事言ってたけど
結局、エッチな事がしたい!!!
そこからはノーグダ・・・
即!!!!!
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とりあえず目的を果たし、お互い横になる。
美「ありがとう」
葉「え?」
美「今日で決心ついた」
葉「あ~結婚?」
美「うん。やっぱり今の彼氏が一番良い」
葉「そっか。良かった良かった」
美「だから、ありがとう。もうそろそろ終電だから帰ろ?」
葉「おっけー。駅まで送ってく」
美「ありがとう」
彼女が結婚するにおいて
通るべき道だったかどうか分からないけど
彼女にとっては『通過儀礼』だったのかなって。
LINEも聞いてないし
今となっては名前も覚えていないけど
こういう出会いがあるから
ナンパって奥が深いよなって。
ほんとに実感した出来事でした。
ブルブルブルブルブル
スマホを見てみると
ワタルからの着信・・・。
葉「なに?」
ワ「葉梅さん?今どこですか?」
葉「赤箱の前におるよ。あれエッチしてないん?」
ワ「いや~そうなんですよ。なんか家着くまでに、色々と売られそうになって」
葉「うん?どういうこと?」
ワ「いや、わかんないです。化粧水とか歯ブラシとか歯磨き粉とか・・・」
葉「あ~なるほど(笑)」
ワ「とりあえず家まで行ったんですけど、水晶玉とか手錠とか縄とか、なんか色々ヤバかったんで帰ってきちゃいました。とりあえず、今から戻るんでそのままいてください」
葉「はい(笑)」
それにしても
アム子いすぎじゃね???
fin